「富士」の絵に導かれて
新座市立第四小学校PTA会長 蟻坂 純子

【写真】優良PTA文部科学大臣賞受賞
優良PTA文部科学大臣賞受賞

第四小学校の子どもたちが、学校の中で一番のお気に入りの場所は、平成十六年新校舎完成とともにできた図書室です。図書室前の廊下には、図書ボランティア製作の可愛らしい掲示物が季節毎に飾られ、訪れる子どもたちを温かく迎えてくれます。両開きの真っ赤なドアを開けると、じゅうたんの上で寝転がって絵本を広げている低学年の子や、テーブルでじっくり調べ物をしている高学年たち、カウンターでは図書委員の子たちが大忙しで貸し出しの仕事をしています。

また、業間休みには、隣の閲覧室で読み聞かせボランティア「おはなしリーフ」の読み聞かせが始まります。今日は人形劇と大型絵本の読み聞かせでした。各教室で行っている朝の読み聞かせでは、凛とした空気の中で集中して聞いている子どもたちが印象的ですが、業間休みの読み聞かせでは、皆リラックスした表情で楽しんでくれています。

こうした子どもたちの様子をまるで見守ってくれているかのように、図書室には富士山の大きな絵が飾られています。この「富士」は、本校のミニ美術館「チロルの森」が誕生してまもない頃、作品展を開いてくださった日本画家、森栄子先生の作品です。森先生の作品は、どれも慈愛に満ちています。とても八十歳を越えた方とは思えないほどの力強さを感じます。森先生は、当時出来上がったばかりの図書室や「チロルの森」に、「どうぞ日本一になってください」とエールをこめて寄贈してくださったのでした。

それから歳月が流れ、昨年十月、私たち第四小PTAは、富士山の麓山梨県忍野村で行われた「日本PTA関東ブロック研究大会第一分科会」で発表の機会をいただきました。大きな裾野の広がる富士山に見守られながら、本校のPTA活動を発表できたことは、誠に感慨深いことでした。まさに森先生の「富士」に導いてもらったような気がしました。

山梨での発表に至るまでには、実に多くの皆さんの協力がありました。特に、本校教諭大坂慶三先生は、発表の半年前からPTA活動をビデオに撮ってくださいました。さらに時間をかけて編集作業をしていただき、十八分のすばらしいDVDが完成したのでした。発表時に流された動画には、大勢の子どもたちや先生、保護者、地域の皆さんの生き生きとした姿が映し出されていました。みんなの映像から伝わってくるパワーが、私たち発表者とひとつになり、無事発表を終えることが出来たと感謝しています。

発表後の質疑応答の時間では、甲府市の単Pの会長さんからとても嬉しい感想をいただきました。「動画に映っているお母さんや発表された皆さんの表情がとても明るいと思いました。どうしてそんなに楽しく活動されているのですか。」という内容でした。

山梨大会の一週間後、私たちは再び富士山のミラクルに驚きました。「平成二十一年度優良PTA文部科学大臣賞」を第四小が受賞したというニュースが飛び込んできたのです。これまでPTA活動を応援してくださった歴代の校長先生をはじめとする先生方、尽力いただいた先輩役員や仲間たち、保護者、そして地域の方、みんなでもらった「日本一」の団体賞だと思っています。

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